腎臓病の種類別・食事療法のポイント
このページでは、腎臓病の種類別に食事療法のポイントを紹介しています。ご自分やご家族に当てはまるものがございましたら、ぜひチェックしてみてください。
急性・慢性腎炎の場合
急性腎炎とは、腎臓の糸球体が炎症を起こしたもの。子供に発症が多い病気です。
- たんぱく質:1日体重1kgあたり0.5g
- 塩分:1日3g
- その他:症状によって水分とカリウムの制限をする
慢性腎炎とは、急性腎炎が治らずに慢性化する場合もありますが、ほとんどの場合は自覚症状が無く定期健診等で見つかります。正確な原因は、まだ解明されていません。高血圧を併発するので注意してください。
- たんぱく質:腎機能が正常の50%以上…1日体重1kgあたり1.2g。腎機能が正常の50%以下…1日体重1kgあたり1g
- 塩分:腎機能が正常の50%以上の場合…1日7~8g。腎機能が正常の50%以下の場合…1日5~7g
- その他:水分とカリウムの制限をする(血清カリウム値が正常の場合、カリウムの制限は必要なし)
ネフローゼ症候群の場合
腎臓の糸球体に障害がおき、多量のたんぱく質が尿に漏れ、血液中のアルブミンが減少する状態です。乳幼児に多く、治療に使うステロイド剤の副作用で成長障害などが起こります。再発の可能性が高いそうです。
- たんぱく質:腎臓はたんぱく質が通るほど傷むので、1日体重1kgあたり0.8~1g
- 塩分:むくみがひどい場合は、1日0~3gに抑える
- その他:むくみの症状に応じて、水分の制限をする
腎不全の場合
腎臓の機能が30%以下になる状態を腎不全と呼びます。
急性腎不全は適切な処置を行うことで、元の状態まで回復が可能です・病状は乏尿期(尿の出のわるい時期)→利尿期→回復期に分かれます。
- たんぱく質:体重1kgあたり乏尿期は0.2g、利尿期は0.5g、回復期は1g
- 塩分:乏尿期(尿の出が悪い時期)は無塩、利尿期は3~5g、回復期には5~7g
- カロリー:十分に確保する(体重1kgあたり35kcal)
- その他:乏尿期にはカリウムを特に厳しく制限する。また、水分も厳しく、乏尿期には前日の尿量+500mLに抑える
慢性腎不全とは、腎臓が本来の働きを出来なくなった状態。原因の多くは糖尿病の合併症である糖尿病性腎症で、約40%の方がこれが原因で腎不全を発症しています。
- たんぱく質:体重1kgあたり0.5g。良質なたんぱく質で必須アミノ酸をバランスよく取り、「たんぱく価100」を目指す
- 塩分:1日5g
- カロリー:十分に確保する(体重1kgあたり30~40kcal)
- その他:カリウム、リン、水分も制限が必要。病状により食事療法が異なるので、医師に聞いて制限する栄養成分をしっかり把握する
糖尿病性腎症の場合
糖尿病による高血糖で、腎臓の糸球体が傷つき発症します。たんぱく質が尿で排出されて血液中のたんぱく濃度が下がり、腎不全となります。
- たんぱく質:体重1kgあたり1~1.2g(早期)、0.8~1g(顕性腎症)、0.6~0.8g(腎不全期)
- 塩分:1日7~8g(顕性腎症)、5~7g(腎不全期)
- カロリー:十分に確保する(体重1kgあたり25~30kcal)
- その他:カリウムを厳しく制限する。また、水分もむくみ・心不全の有無で適宜制限する。
症状・病気の進行により栄養の制限量が変化していくので、都度医師に確認して腎臓に負担をかけない食生活を心がけてくださいね。